2月下旬のサファリダイヤリー(その1)
22日、
楽しみにしていたクロサイの「ハナ子探し」に出発した。
僕らのドライバーでは1人だけしか最近見た者はいなかった。誰もが自分の目で確認したいと思っていたので今日のドライバーも意気込んでいる。
最後に確認された場所は、僕らの通常サファリをする西部のマラ・トライアングルと呼ばれる地域ではなく、東の別の自治体が統括するオルキヨンボというマラ川を渡り、遠く離れているため滅多に行かない場所だった。
途中、マラリエンダのアカシアの森を通過すると、甘酸っぱい匂いが漂っていた。ここに自生するアカシアドレパが開花を始めていた。満開の木を見ると、もうしばらく見ていない梅の花を連想させた。
[7:35、タイヤ]
オルキヨンボ付近へと続く道は湿原だが、今は完璧に乾燥していた。車で走るのには苦労しないが、茶色い草原がひたすら続く単調な景色になっていた。動物も見かけない。困ったことに別のサファリカーも一台も見かけなかった。こちらの場所は滅多に来ないせいで地名がわかっても、今何処に動物が集まっているのか付近のロッジのサファリカーより情報収集する必要があるのだ。
ようやく、インターラピッドというロッジの滑走路で、サファリカーとすれ違う。ドライバーよりライオン情報を得られた。肝心のハナ子情報を尋ねると、この1週間ほど誰も見かけていないという。逆に「そちらにいるんじゃないのか?」と質問された。おそらく連日のこの暑さで森の中から出ようとせず、サファリドライブでは見かけられないのだろう。少しがっかりだった。
ああ、ハナ子よ。何処へいったのだ。
密猟者にやられていなければいいのだが・・・[8:30、インターラピッド]
目的を変更してライオン家族に会いに行く。
まず最初に出会ったのは、7頭ものメスだけで構成される集団であった。7頭はだらだらとゆっくり草原から森の方へ移動しているところだ。どの顔も日差しの強さに目を細め、暑そうだった。お腹が凹んでいるのでこの数日獲物を口にしていない様子が伺えた。
腹が減り、さらに暑さで憔悴した顔付きだった。
[8:57]
最初に見た群れからさほど遠くない場所で、別のライオンの群れに会う。
草原にある小さな茂みの陰で、くっつきあって寝込んでいるので頭数を把握するのに時間がかかったが、全部でメス6頭、子供8頭の大家族だった。こちらの群れでもオスライオンの姿が見受けられなかった。オスはナワバリのパトロールにでも行っているのだろうか。草食動物達はほんの数箇所の場所にまとまって生活しているようであった。こんな状態ではライオンはハンティングに苦労しているに違いない。
生まれたライオンの子供達の8割が乾季の餓死により死んでしまうと聞いたことがある。肉食獣として生きることの苦難を想った。
[11:38、ムシアラゲート]
戻る途中、ムシアラ湿原付近の小高い丘の上の茂みで別のライオンの群れが寝ているという情報が入った。ここにはオスライオンがいると言われたが、その場所は草に隠れた石があまりに多く、車を近づけるのは困難なので諦めた。
それにしても今日のサファリはライオン尽くしだった。23日、
昨日沢山のライオンを見たけど、結局オスライオンの姿が見られなかったのでゲストのリクエストにより今日はオスライオン探しに出かける。
目指すはタンザニアの国境付近だ。[7:50、マジヤエジプシャン]
最初に見かけたプライドは、メス7頭、子ども3頭の群れだった。
一列になって移動しているところだ。先頭のメスは時々立ち止まっては鼻を高くあげて匂いを嗅いでいた。何を探しているのだろう。
群れが集まってじっと見つめている方向があるので双眼鏡で調べてみると、前方に単独のインパラがいた。しかしすばしっこいインパラはいくら群れでも捕まえることは難しいだろう。
プライドはまだ移動を続けていたが、途中石が多い場所へ入っていってしまったので僕らは尾行を諦めた。
[8:39、ミリマタトゥ]
国境付近の草原は、見渡すかぎり草丈の短く草原が続ききれいだった。
そこにモコモコとした物体。オスライオンのタテガミだ。
近づいていくと、まわりにメスライオン2頭、中くらいの子どもが1頭一緒に寝ていた。
立派なタテガミをしていたが、そう歳をとっているオスライオンではなかった。傷のないきれいな顔立ちから、セレナ付近によくいる2頭の兄弟ライオンの1頭だということに気付いた。
オスライオンは警戒する様子もなく、僕らのサファリカーをじっと見つめていた。普段のライオンは車がやって来ると、視界に車を入れないように無視するように意識するが、今日はずいぶんカメラ目線で格好良かった。[9:10、ボーダー]
タンザニア側へうっかり入ってしまい国境警備隊に掴まると、2年間は牢屋から出してくれないらしい。
僕らは注意して国境沿いを車で走らせながら、最近見かけないシマウマやトムソンガゼルの群れを眺めていた。
そして道沿いで出会ったのは、あの「二枚目」オスチーターだった。
あいかわらず澄ました顔で一頭、ひょうひょうと佇んでいた。
しばらく観ていると、二枚目は軽く伸びをして、優雅な足取りで木の下へ歩いていった。朝の日光浴が終わったらしい。
彼のポーズはいつも決まっている
[9:38]
しばらく進むと、やはり国境沿いにメスチーターと大きな子ども2頭の親子が木陰で涼んでいた。
この親子は、すぐそばに父親(二枚目)がいることに気付いているのだろうか?
2日前にこの親子に会ったときは、捕らえたばかりの獲物にがっついていた場面だった。あのときに真剣な表情に比べ、今日はなんとものんびりした優しげな表情だった。[11:00、セレナスワンプ]
セレナ方面からメインロードを通ってオロオロロゲートへ帰る途中、水の溜まりやすい湿原がある。道路には土管が入っていて水が流れている。
この水溜まりにハイエナが入っていたので、最初は暑いので水浴びをしているのかと思った。
しかし車を停まらせてみると、水面から反り上がったが角が突き出ているのが見えた。水中に死んだバッファローが沈んでいたのだ。このバッファローは大きかった。どうもハンティングされた個体ではなく、病気か老衰で自然死した個体らしい。
ハイエナは6頭いて、水に浸かりながらその屍肉に食らい付いていた。水面に出ている部分だけしか噛み付くける場所が無いものだから、ハイエナ達はしょっちゅうケンカをしながら適部を争った。
右側の水からつきだしているのは、バッファローの角
みんなで力を合わせて肉を陸に引き上げればいいものなのに、どうもハイエナの群れにはそういう協調性がないらしい。
バッファローの腕だけ引きちぎることが出来た1頭のハイエナは、それだけ持ってスタコラと草原へ消えていった。