3月上旬のサファリダイヤリー(その2)
5日、
今日も暑い。こんな日はサファリに行かずにプールで泳いでいたい・・・。そう考えていたけどピーターおじさんが、
「アイトンへヌーの子供を見に行こう」
と言うので連れてってもらう。前からボクも気になっていたのだ。
マサイマラ保護区の外、東北部に位置するアイトンと呼ばれる地域は、マサイ族の所有地だ。
この地域にはタンザニアへ向かって「動物大移動」をしない「定住型」のヌー達が住んでいる。そして今はそろそろ出産の時期なのだ。前回1月末にこの場所を訪れたときには、数頭の子供を見かけただけだった。今回は多くの子供達が走り回っていることを期待している。[マラリアンダ、15:33]
何処から集まって来たのだろう。アカシアの疎開林にぞくぞくとシマウマ達が集まりだしていた。300頭はいるだろう。
この異様なくらい暑い乾季、比較的日陰の多い林に避難してきたのだろうか。[アイトン、16:00]
アイトン方面は、思った以上に乾燥していた。草丈は短く、所々は地面が剥き出しになっている。ここではマサイ族が牛やヤギの家畜を放牧するので、保護区の中よりも食物競いによって草の消費が早いのかも知れない。それにこの地域は僕らのいるオロオロロ付近よりも降水量がいつも少ない。
乾いた草原に、黒く固まっているヌーの群れを発見。しかし近づいてみるが、ヌーの子供達の姿は見えない。この群れはオスだけの群れだろうか。また別のヌーの群れに近づく、今度は1頭だけ子供がいた。
フト思う。
もしかして、定住型と呼ばれるヌーはオスが多いのではないだろうか?
そもそもヌーが大移動する理由の一つに、南部のセレンゲティの草にはミネラルが多く含まれ、子供の育成に適しているから。というのを本で読んだことがある。もしヌーの母親達がそれを知っていて、生まれてくる子供達のために命をかけた大移動をしているのなら凄いことだ。そしていくつかのオスは、辛い思いをして大移動しなくても、なんとか生きていける食物がマサイマラにあることを知っていて敢えて移動をしないのなら、それはそれで賢いと思う。
3頭のヌーの子供達。子どもが母親からお乳をもらっている
そうこうしながら、ようやく10頭ほどの群れの中に4頭の子供達を見つけた。生後1ヶ月くらいだろう。この子供達は、オトナになったら大移動するのだろうか。それとも親のようにここに定住するのだろうか。とても知りたくなる。
・オスが可愛く見えるとき
[アイトン、16:48]
6日、
[ゲート、17:48]
夕暮れ前、いつものエリアで「木登り好きメスライオン」が食事を摂っていた。捕らえた獲物はリードバックだった。
子供達も食事に参加している。ときどき母ライオンの口元付近に子供が顔を近づけすぎると、母ライオンは前脚で子供の頭を踏みつけるように押さえつけた。小さな子供はブギャ!、と地面に倒されるが、またおずおずと顔を出し肉に食らいつく。こうやって母ライオンは食事のマナーを教えているのだろう。
草に隠れて見えないが食べられたリードバックがいる。母親は口の周りの血を舐める。
もう1頭の子供は、すっかり食事に飽きてしまったようで、ひとり傍らででんぐり返しをしながら遊んでいる。
そういえば、4日前にバッファローに追いかけられて木に追いつめられたこの母ライオンだったが、子供達はその場におらず無事だったのだ。それが確認できてほっとした。
7日、
[セレナスワンプ、11:08]
ボクは雑誌の取材班とともに日中の草原へゾウの群れを撮影しに出かける。幸い今日は薄曇りだから、そう暑くはない。
20頭ほどの群れは川に向かって移動をしているように見えたが、しばらくすると一斉に歩くのを止めてしまった。
最初のころは草を千切って食事をしていたが、しだいに鼻を動かすのを止め、だら〜ん、と放心状態様になってしまう。
立ちながら昼寝を始めたみたいだ。しかもみんな示し合わせたごとく活動を止め、「立ち昼寝」を始めてしまった。
睡眠中のゾウの群れ。みんなでじっと動かない。
僕らのサファリカーの一番近くにいたメスだけ、シャッターの音が気になるのか目をショボショボさせながら、ときどき思いだしたように草を食べた。眠いのを我慢しているのが明らかだ。
僕らは彼らの昼寝を邪魔しないようにその場をゆっくり去った。[ボーダー、12:13]
タンザニアの国境では野火が入っていた。この火がタンザニアのセレンゲティ国立公園で行われているプランニングファイヤーか、マサイ族の野焼きが勝手にここまで延びてきてしまったのかはわからない。とにかく草原は乾燥しているので火はかなりの距離まで延びていた。
取材班が野火の写真を撮りたいというので、ドライバーに頼んで近づいてもらう。
火の側には「渡り」で来ているコウノトリの姿が見られた。彼らは火や煙をまったく恐れずに歩き周り、煙に逃げ惑う草原のバッタを捕まえていた。
さらに近づいたとき、風向きが変わって僕らのサファリカーが一瞬にして煙に飲まれてしまった。窓もルーフも全開にしてあったので室内は真っ白。目を開けていられずに何度も瞬きすると、涙がボロボロと流れた。気が付くとすぐ側に火が迫っている。草原の表面だけを焼き焦す野火は足が速いのだ。さすがにドライバーも焦ったらしい、車をUターンさせて煙の風上へ逃れた。
案外草食動物は慌てた様子もなく、シマウマもガゼルものんびりと野火を眺めているのが意外だった。
野火を気にせず歩き回る草食動物たち。このあと新鮮な草が食べれることを知っているのだろうか。
・シマウマの川渡り
[セレナアクロス、15:38]