3月中旬のサファリダイヤリー、その2
16日、
[ムシアラ、16:20]
今日も暑い。気分を変えてムシアラ方面へ向かう。
ムシアラの森には定住者のヒヒの他、シマウマやインパラなどの草食獣が避暑地を求めにやって来ていた。
ゾウ達はこの地域に群生する高木のグリーンハートの実を貪っていた。
ムシアラの森の中に入ると、ゾウが小さく見える
[タイヤチニ、17:10]
1時間ほど探し回って、ようやくチーターの親子を発見できた。このエリアに生息する「クイーンの娘」と呼ばれる個体だ。3頭の子ども達はかわらず元気いっぱいで母親の周りを走り回っている。
水の溜まる溝へ来ると4頭は並んで水を飲んだ。そして溝によってできた日陰に身を隠した。
[ムシアラゲート、18:00]
陽が傾きかけてきた帰り際、ムシアラでお馴染の大所帯のプライドに会った。
5頭ほどいるオトナメスの姿が見えない。ハンティングに出かけているのだろうか。
前回見たときより子ども達が丸く太っている。どうやら食料難はなんとかしのいでいるようだった。
母親の帰りをアリ塚の上で待つ子どもたち
子ども達はアリ塚の上に座って、母親の帰りを待っているようだった。小さな子どもたちに混じって、1頭の若オスの姿があった。この個体はこのプライドのボスの息子だろう。まだ一人前として独立できず、扶養家族としてここで生きているのだろうか。彼の仕事はきっと8頭の子ども達の子守役だろう。
子ども達のお守り役の若オスライオン
18日、
雲を赤く染める奇麗な朝焼けから今日が始まった。
[コムチェゾ、7:30]
シエニのプライドが昨日捕らえたシマウマの肉をまだ食べていた。
3頭のメスと1頭の小さな子どもに囲まれながら、ボスのオスは未だ肉を独占している。
サファリカーが集まってきたためにオスが肉をくわえて移動しようとした際に、肉の間から内蔵の一部が落ちた。メス達はすばやくそれを拾って食べた。メス同士は決して争って内蔵を食べようとしなかった。顔を寄せ合って小さな肉片に口を付ける。そしてひたすらオスが満腹になって肉を手放すのを待っている様子。
シマウマの肉を貪るプライドのボス。その子どもだけは肉にありつけるけどメスは順番待ち
欲張りのオスだが、小さな子どもが肉を食べるのは許すらしい。子どもはオスの傍らで肉片に齧り付く。しかし子どもにとって肉よりも父親にかまってもらいたいらしい。遊んで欲しそうにオスのお尻にしがみつくと、ガウ!と一喝されてしまい驚き、母親の影に隠れてしまった。母親はそんな子どもを舐めて労るところが微笑ましい。[メインカルバート、8:10]
3日前に見かけたセレナのプライドのペアが交尾を繰り返していた。今朝は涼しくて元気があるのだろう、ライオンの交尾が見たいのなら朝が狙い目だ。日中暑くなってしまうと精力よりも休養をとってしまうようだ。
[ミリマタトゥ前、8:40]
チーター親子の情報を聞きつけてその場所へ向かう手前、1頭のメスライオンがアリ塚の上で眠っているのを見かけた。しかし今はチーターが最優先でその場を通り過ぎる。チーター親子はそこからそう遠くないところ、道路に沿ってゆっくり移動をしていた。このまま移動をすると先ほどばったり会ったメスライオンに遭遇してしまうだろう。どうなるのか見守る。
路上を歩くチーターの親子
チーター親子は草の生えるアリ塚の上で寝ているメスライオンには一向に気付かない。
50mも近づいたとき、サファリカーの音に起こされたのか睡眠を貪っていたメスライオンがむくっと頭を持ち上げた。
チーター親子の動きがピタッと止まる。そして2頭の子ども達は同時に左右へ蜘蛛の子を散らすように走り出した。母親だけが動かず、メスライオンを見つめている。
普通ネコ科同士はお互い好き合わない。常に力の強いほうが弱いものを追い払う。ボクは何度かオスライオンがチーターを追い払うところを見たし、ヒョウとライオンが取っ組み合いの喧嘩をする壮絶な場面も見た。しかしこのメスライオンといえば、寝ぼけ眼でチーターをぼんやりと眺めるだけだった。メスはあまりナワバリの権力争いに興味がないのだろうか。
それでもママチーターは警戒を緩めずに、時々振り返りながらもと来た道を引き返し始めた。
離れ離れになった子どもたちも引き返してきて、また母親と一緒になる。こうやって子ども達は親といる間に様々なシチュエーションで起こりえる洞察力を身に付けていくのだろう。[セレナヒポプール、10:00]
川側で朝食を取っているとシマウマの鳴き声が付近で響き渡っていた。駆けつけるとマラ川の浅瀬ではシマウマの群れが次々とやって来ては川を走り渡るところが見られた。
付近には警戒しなければいけないワニの存在もなく、シマウマ達は躊躇なく次々と渡っていた。
それにしてもつい先日、僕らのいるセレナ方面へ川渡りをしてやってくるシマウマの群れを見たのに、今日は何故またシマウマ達はもと来たオルキヨンボ方面へ戻らなければいけないのだろう。このようにシマウマたちを移動させる衝動が何処から来るのか知りたい。
シマウマの川渡り水位が低いので容易だ