その2、スカウ・ボートクルーズ

次に僕らは山本さんのお奨めで向かった場所はスカウというところ。セピロクから車で2時間東への道のりだった。ここはサバ州で一番大きなキナバタンガン川を中心に自然が豊かなところで、ボートクルージングにより何処よりも多くの動物に出会えるという。

午後4時にロッジへ向かう船着き場へ到着すると、ロッジへ行く前にさっそくそこからボートクルージングへ連れていってくれた。穏やかな川の流れを進むボートの乗り心地は最高だ。日差しは強いけど風が心地よい。

キナバタンガン川の水面に映る積乱雲

川にせり出す森と、ボートから動物を探す仲間たち


そこで最初に見た動物はサルだった。川辺にせり出した木々にしがみついているこのサルをガイドは「ロングテールマカク」だと言った。雑食性で特にカニが好きで、長い尻尾をカニの巣穴に入れて釣り上げるところから「クラブ・モンキー」とも呼ばれると聞き、日本語でこのサルは「カニクイザル」だったことを思いだした。

 

枝を伝うカニクイザル

樹上に留まるサイチョウの仲間

キナバタンガン川へ流れ込む支流の一つにボートが入り込むと、そこはボクの想像していた「ジャングル100%」の世界だった。気分は探検隊だ。
細い川幅を覆い隠すように、葉が茂った木々がせり出している。大きな木にはオオタニワタリのような植物が付着している。ボクの耳にはステレオサウンドのように彼方此方から生き物の鳴き声がした。それはカワセミなどの水鳥だったり、正体不明の虫だった。

比較的背の高い木に何か大きな生き物が群れでぶら下がっている。どうやらカニクイザルではないようだ。それがボクらのスカウで探していた生き物、テングザルだった。

高木に留まるテングザルの群れ

テングザルのメス


テングザルは特徴的なサルだ。クリーム色の身体に肌色の顔。そして特にオスの異様な大きさの鼻だ。鼻だけでなく、お腹もぽこんと出ていてユニークだ。なんだか一見肥満気味で運動能力を疑ってしまうが、案外身軽だ。高い木の枝を揺らし、その反動を利用して隣の木に飛び移る。その姿は特撮の忍者顔負けだ。
でっぱったお腹は、繊維質の植物をより効率良く消化するために腸が伸びた結果らしい。
「では、アノ鼻は?」
と聞くと、ガイドははっきりわかっていないらしいが、異性を引き付けるセックスアピール的な要素と関連があるのではないだろうか、と言っていた。鼻のサイズは性力と関係があるのか?ちなみにテングザルの群れ構成は1頭の強いオスが複数のメスを囲む「ハーレム」になっている。ハーレムを作れないあぶれたオスは、オス同士で群れを作るらしい。是非、ハーレムのボスとあぶれたオスの鼻の大きさの比較をしたかったけど、その機会はなかった。

僕らの宿泊したロッジは「スカウ・レインフォレスト・ロッジ」といって、なかなか快適なところだった。エコツーリズムを推奨しているだけあって、地元還元のために8割方のスタッフが近隣の村から雇われた人であった。みんな素朴に良い人達ばかりだ。またボートクルージングの際、野生動物へのストレスを配慮して動物に接近するときは音の静かな電動スクリューを利用していた。
ディナーの際には各自ムスリムの伝統的なサルーンを腰に巻き付けることが義務づけられており、そんな演出も楽しかった。

夜はスライドショーでエコツーリズムの説明をしてくれた

夜9時からは、ナイトクルーズに出かける。
月のない真っ暗な夜で、星がやけに沢山見えた。気温も和らいで平らな水面を滑るボートは気分良かった。
この中を船頭件ガイドは、巧みにサーチライトを動かして鈍く反射する動物の目を探してクルーズをする。
それにしても、ガイドの目の良さには驚いた。培った経験があるとはいえ遠くからあまりにも小さな動物まで見つけてしまうのには頭が下がる。時には小指ほどのサイズもない小さな小さなカエルまでも見つけてしまうのだ。
主に見られたものは川べりで眠っている水鳥やフクロウ、それに小型のクロコダイルだった。一番の見物はイチジクの実を食べるシベット(ジャコウネコの仲間)だった。

カワセミの仲間
睡眠中


フクロウの仲間


クロコダイルの目が不気味に光る
(といっても体長40cm)



ナイトクルージング中、ボクはサーチライトにテングザルの姿が一瞬映った気がしたので終わった後ガイドに聞いてみると、いるのには気付いていたけど常に川に背中を向けて森を警戒して眠っているから見ても面白くないし、それに余計なストレスを与えたくなかったから、と言っていた。ボクはそんな環境配慮の出きるガイドに出会えて嬉しくなった。

さらに僕らは早朝クルーズにも参加し、中型のクロコダイルにも会えた。この周辺には野生ゾウも生息するらしく、残念ながら見ることはできなかったけど、糞や足跡を見かけることはあった。
さらに僅かな時間を利用してロッジ周辺のボードトレイルも散策した。
そこではトカゲと見間違えてしまいそうな小さなコビトリスに出会えて満足した。見たことのない蔦の仲間もあれば、奇麗なチョウも沢山おり、でっかいダンゴムシにも出会えて興奮した。

巨大なダンゴムシ発見!


かわいいコビトリス
日本のヤマネに似ている(?)


こちらもかわいい、
その名もコイヌガオフルーツコウモリ
ロッジの屋根の上に棲息



ジャングルでの興味は尽きず、しかし時間の都合でわずか1泊の滞在しかできなかったことを悔やむ。

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