7月のサファリダイヤリー、その1

2日、
[エアスト、11:05]
マラ川を覗くと、水の中で1頭の大きなカバが死んでいた。人形のように足をつっぱって、見るからに「死んでいます」と訴えてるようだ。
いつも水中から様子を窺っているカバの頭だけでは大きさは想像しにくいが、この様にひっくり返っているとあらためてカバの大きさがわかる。でかい。

死後硬直しているカバと、右手に泳ぐクロコダイル。




ここまで大きなオトナが死んでしまう理由は寿命以外に考えにくい。
死んだカバの回りにはクロコダイルがウロウロしていた。ときどき口を開けて噛み付こうとするが、厚い皮膚を持つこの肉塊の何処から手を付けていけばいいのか当惑しているようだった。
クロコダイルは、捕らえた獲物が水の中で腐って柔らかくなってから食べると聞いたことがある。1年間も何も食べなくても生きていけるクロコダイル事だ、辛抱強く獲物が食べやすくなるまで待つことも出来るだろう。

道端には「ライオンのしっぽ」と呼ばれるシソの仲間が花を咲かせている。
この植物を見るたびにボクは串団子を思いだしてしまう。

オロオロロの丘の上に「ダイヤモンド」と呼ばれる水溜まりがある。マサイマラの夕日は山の中に沈むので写真に撮り辛いが、この時期ならちょうど水面に夕焼けが映るのでなかなかユニークな写真が撮れることもある。

4日、
[バクダット、12:04]
一番暑くなるこの時間、ミリマタツのプイドのメスライオンたち6頭が一本の樹の下で休息していた。この時間、どうあってもこの木陰から出る気はなさそうだ。
車中にいても太陽の日差しで窓から出したボクの腕はジリジリと焼ける。あのライオンたちの木陰がいかにも気持ち良さそうで、羨ましくなってきた。

暑くて何もする気がないことを主張するような態度。


5日、
[ムシアラ、9:42]
今日は一日中雨が降っていた。このようにマサイマラでしとしと雨が降るのは珍しいことだ。
ムシアラの滑走路付近にいくつか人工的な池がある。この池は滑走路を作るときに土を掘り返した所で、そこの雨水が溜まり池になってしまった。
その一つには浮き草が一面に広がる池があり、なかなか奇麗だ。この中に通常十数頭のカバが住み着いている。
浮き草の中から顔だけを出してこちらを伺うカバの顔はなかなかユーモラスだ。
頭に浮き草を乗せたカバを見てゲストが言った。「あ、ムーミンだ!」
ボクはこれからこの池を「ムーミンの池」と呼ぼう。

左のカバの頭に乗った水草が、ムーミンの髪の毛に見えないか?

6日、
滑走路に着陸したナイロビ行きの飛行機(4プロペラ60人乗り)がパンクをしてしまった。鋪装されていない砂利の滑走路だから、日本では考えられないけどこのように時々パンクを起こすこともある。飛行機が常時予備のタイヤを積んでいるわけはないので、こうなってしまったらお客さんは別の飛行機が来るまで待つしかない。
しばらくするとずいぶん小さい飛行機がやってきて新しいタイヤと2名のエンジニアだけを残して飛び去ってしまった。すぐにタイヤを交換するから、もう少しだけ待ってくれという。
タイヤを交換すると言ったって、こんな処でこの大きな飛行機をどうやってジャッキアップできるのだろうか?


なんて深く考える必要はなかった。持ち上げないで、地面を掘り下げればいいのだ。エンジニアは持参した鍬とスコップで、あっという間にタイヤの下を掘って新しいタイヤと取り換えた。
なるほど、地面が土の滑走路にも利点があったのだ。
2時間遅れでお客さん達はナイロビへ飛び去った。

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