第2回、野生教室開催(その1)
草原でジャンプ(昨年の写真より)
昨年に続き、日本の高校生を対象にした環境体感学習がはじまった。
1回目の野生教室は、なにもかも始めての試みでいろいろとオオゴトになった。なにせ30名の生徒のために日本から先生や関係者に取材陣、現地からは州警察やレンジャー、マサイ族の警備を含め総勢50人以上のスタッフが1週間同じキャンプサイトでうごめいたのだから。
そのプログラムをボクが手がけた。でも自分がやりかたっかことと先生方の安全対策に関する意向に食い違いがあり、ボクのいくつかの案は却下された。
そして正直に言って、結果から観る満足度は僕自身50%にも満たなかった。自分自身反省するところが多いが、それでもなるべく生徒達にアフリカの素晴らしさを伝えたくて、先生方のくだらない規則を破り安全のためという名目で張られた意味のないロープを越えてみたり、夜は怒られるまで語り合った。そんなこともあったから、なおさらあの時一緒にいた生徒達とは今でも交流が続く。そして今年、第二回目が開かれた。世界情勢や流行病の影響で参加希望が減り21名になった。今回は中学生が3名含まれている。
ボクは昨年の経験を元に新しいプログラムを考えた。今回は安全対策とコスト削減に重点を置き、キャンプサイト選びをした。
そして昨年はマラ川沿いのマサイ族の土地にあるキャンプサイトに設営したが、今回はロッジの敷地内に新しいキャンプサイトを作ることになった。場所はロッジにほど近いがひっそりと隠れた林で、すぐとなりにKWS(ケニア野生動物局)の詰め所があって警備も万全。それに敷地内なので運営はロッジのスタッフで切り盛りできるし、昨年かかったマサイ族の土地代も払わなくて済む。なかなか好条件に思えた。
1ヶ月前からキャンプサイト整備に取りかかった。毎日十数名のスタッフに手伝ってもらい下草を払い、アカシアの枝打ちをして視界を広げた。テントのサイズ通りに地面を平らにし、薪を拾いファイヤープレイスには石を積み上げた。ボクも全身筋肉痛になるほど手伝い、蜂の巣を移動したために怒った蜂がボクの顔を刺したりもした。
そうやってできあがったキャンプサイトは、一時的なものしては勿体ないくらい素晴らしいサイトになった。この出来栄えは、スタッフ全ての予想以上だったと言える。
整備して作り上げた新しいキャンプサイト
7月15日
初日、まずはナイロビまででて国際空港へ生徒達を迎えに行く。この日、サファリガイド・アシスタントとして手伝ってくれる鈴木ゆかさんとも合流。彼女は今年、タンザニアの野生生物管理大学を卒業した後輩だ。
先生、生徒達がアライバル・ゲートから出てきた。今回の野生教室には高校二年生になった2名のリピーターがいて感動の再会を果たした。今回2度目の先生は、関空からドバイまでの直行便ができて移動が楽になったというが、さすがに旅慣れない生徒達はお疲れ気味のようだった。しかし気の毒だが、今日の予定はみっちりだ。参加生徒の内訳はこうだ。
○ 中学2年生、男子1、
○ 中学3年生、女子2、
○ 高校1年生、男子3,女子6、
○ 高校2年生、男子3,女子6、
昨年同様、またしても女子が男子の倍以上参加している。近頃は女子の方が活発で好奇心に溢れているのか。市街にある日本大使館を訪問した。
いつも高慢な態度のする大使館だが、気持ち悪いくらい今日は愛想が良い。厳重な警備に緊張した生徒達だったが、大使、医務官は話し上手で面白く、笑いが溢れた。最後に大使の執務室で記念写真。こんなところまで案内してくれるとは思ってなかった。フカフカの絨毯に靴が沈んだ。その足で国立博物館を訪れる。
ここではボクと鈴木ゆかが二手に分かれて展示を紹介した。少しでもケニアの予備知識を得てもらおうと、特に民族文化伝統ギャラリーで多民族の説明と、考古ギャラリーで人類発祥説と大地溝帯の話をした。
国立博物館で解説中のボク(昨年の写真より)
夕食前にホテルの会議室でキャンプ生活についての注意事項に触れた。健康管理や危険回避はすべて自分の責任によること、そのためには普段の生活では使わない五感をフル活用することと述べる。
予定時間になっても中学生の男の子が来ない。電話をしてもドアを叩いても返事がなく、心配になってルームキーパーに開けてもらうと、ソファで死んだように爆睡していた。やはり14歳の身体には飛行機の長旅は堪えたのだろう。
ホテルのディナーでは何故かこの日、ゲームミート(野生動物の肉)のビュッフェで、これから動物観察するのにガゼルやイボイノシシの肉を食べてもいいのか?と思いながらけっこういける味で感心した。16日、
早朝、高一男子生徒が蚊に刺されまくったと言って相談してきた。ダニかも知れないので刺されたところを見せてもらう。5箇所刺されたと言っていたが1箇所だけ赤い点が着いているだけだった。心配ないと安心させる。
8時、マサイマラへ向けて出発。街には霧雨が降って寒かった。
郊外へ抜け、リフトバレーの景観場所へ行くと少しだけ晴れて大地溝帯の一部が見渡せた。生徒達の何人かは、昨年と同じようにしつこいお土産屋に捕まり、高い値段でお土産をさっそく買ったようだ。
大地溝帯を降りると植生が変わりサバンナ草原となり、野生動物が出てくるかも知れない、と説明して出発。案の定ロンゴノット付近でキリン、シマウマ、ガゼルの群れに遭う。ボクは女生徒たちのミニバスに乗っていたので彼女達の嬌声が車内に響き渡った。初対面の動物がキリンなんて、生徒達はついていると思う。ちょうど12時にナロック町へ着き、そこでお弁当。ここのマサイ族はラクダを飼っていて道路を歩いている。
ここで舗装道路が終わり、がたがたの埃道に入る。
朝早かったのでウトウトしてきたら、女生徒達の「Jambo! 」の絶叫に目を覚ました。どうやら見かけるマサイ族の人達に向かって、片っ端からいっせいに挨拶をしているらしい。ついでにマサイ族の挨拶を教えてあげた。でもうるさいことには変わりなかった。アイトンを抜けると、いよいよボクの知っている馴染のフィールドへ近づいた。そして動物達も顔を出す。キャンプサイトへの予定到着時間まで余裕があるので動物観察をしながら移動した。
ボクは動物だけでなく、植物やマサイ族の共存関係も説明する。みんな一生懸命ノートに記録していた。
5時半にキャンプサイトへ無事到着。さっそくマサイ族のダンスによる歓迎を受けた。始めてのマサイ族に言葉なく立ち尽くす生徒達を後ろから押して、一緒にジャンプさせた。
明日から本格的なサファリが始まる。生徒達にカメラを持って「見物」ではなく、双眼鏡を持って「観察」をするように促した。