8月のサファリダイヤリー、その3

8日、
マラ・トライアングル方面へ出かける。
情報ではクロサイの「タロウ」がこちらにやって来て「ハナ子」と一緒にいるらしい。タロウの住み処である対岸のパラダイス平原が全て野焼きされてしまったので、逃げてきたのではないだろうか。

[7:24、ミリマンビリ前]
ミリマタトゥのプライドがシマウマを食べていた。メス5頭と子供が2頭だけ確認できた。この獲物は夜更けにハンティングしたと思われる。
最近、対岸よりロイタポピュレーションのシマウマが川を渡ってトライアングル内に入ってきた。お陰でこれからしばらくこのプライドも餓えに悩まされることはないだろう。
突然ライオンたちが上空を見上げて警戒を始めた。
彼らの視線を追うと、頭上に熱気球が浮かんでいた。車には順応して気にしなくなったライオンだが、さすがに馬鹿でかく浮遊するバルーンには慣れない様子。

浮遊するバルーンを凝視するライオンたち

[8:40、ムワリム]
クロサイを探して徘徊したが見付からず、国境付近でペアのライオンを見かけた。

汚れて色が変わったミリマタツゥのオス

こんな黒い個体がいただろうか、と考えてしまったが良く見ると野焼きの影響で身体中、煤(草の灰)で薄汚れてしまったミリマタツゥのオスだった。

9日、

[7:00]
空高くに浮かび上がる雲は「うろこ雲」と言うより「洗濯板」に似ていた。

[7:30、ジャンクションヤギラレ]
昨日に続きミリマタツゥのプライドがシマウマを食べていた。
何頭かのメスライオンが新しい獲物を探してシマウマの側へ近づいていった。しかし、ナイロビから来た観光客を載せたミニバスがメスライオンたちの進行方向を塞ぎ、メスライオン同士がコミュニケーション取れなくなってしまった。

[8:10、km4]
3頭の子供を連れたチーター親子、さっきまで母親は捕まえたトムソンガゼルの子供を殺さないで、子供たちに獲物を狩る練習をさせていたようだ。
チーターの子供達は少し弱ったトムソンガゼルの子供でトレーニングをし、しばらくして食べ始めた。トムソンガゼルの子供の弱々しい断末魔が聞こえた。

捕まえたトムソンガゼルの子供は最終的にはチーター親子のお腹に収まった

チーターの子供達は生後1年半くらいになる。普通2年を過ぎると「親離れ」なので、そろそろ母親の教育が始まったのだろう。
この時期はトムソンガゼルの出産期なので、チーターの狩りの練習にちょうど良いのかも知れない。

川渡りのポイント
[10:00、セレナ]

睡眠中のトピ
「反省」しているみたい

[11:35,マジヤンデゲ]
睡眠中のトピは面白い。鼻先を地面に着けて顔を立てたまま眠るのだ。
物理的にトピは顔全体を地面に着けるより、鼻先だけの方が楽なのだろうか。それとも顔を立てといたほうが視界が開けて安全だからそうするのだろうか。

11日、
[7:30、ムシアラダイヤ]
ムシアラの大所帯のプライドが人工の水辺で朝日を浴びて寛いでいた。
追いかけっこをしたり戯れあう子供たち。メスの何頭かは狩りに出かけているのだろう、姿が見えなかった。

戯れあう子供たち

数頭の子供達が、グラントガゼルに忍び寄る格好を見せた。30mほど近づいたところで駆け出した。とっくに気付いていたグラントガゼルはライオンの子供が追いつけるとは思ってないらしく、かろやかにステップを踏むように距離を離した。
オトナのライオンは体重が重くて足が遅いので群れでハンティングをする。だからと言って、体重の軽い子供が速く走れるというわけでも当然ない。
子供達は大人の介護があるうちに、こうやって色んなことを学んでいくのだろう。

[10:00、ゴーチ]
久しぶりにレオパード峡谷へ訪れてみた。もちろん随分長い間見ていないヒョウを探すためだ。
ここには「ムキヤヌス」と呼ばれる車に慣れたメスヒョウの子孫達が住み処にしていた場所だが、ここ最近ちっとも出現した情報を聞かない。

峡谷への道は、最近誰も訪れていないことを示すように高い草が生えて行く手を遮っていた。
僕らは峡谷の岩の隙間からお気に入りのイチジクの樹の上まで探したが、会えたのはイワハイラックスとベルベットモンキーだけだった。
僕らは付近の一本のバラニテスの下で朝食をとった。木の幹にはいつ頃のか分からないが、ヒョウが木に登るために引っ掻いたツメ跡だけが残っていた。


そして帰り道、背広を着たマサイ族の集団に会う。
彼らは大きな石を拾っては草原の所々に置く作業をしていた。
彼らが何をしているのかドライバーに聞いてみると、「私有地の取り決め」をしていると言った。
このレオパード峡谷はわずかに保護区から出たエリアで、本来マサイ族の共有地なのだ。そこで最近は身内同士で土地の細分化が始まっているという。
マサイ族の土地ならば家畜を放牧するだろうし、もし家畜がヒョウに殺されることがあったならヒョウは迫害されるだろう。
もうすでにこの付近の肉食獣は追いやられて、レオパード峡谷を離れてしまったのかも知れない。
ヒョウの生息に格好のレオパード峡谷は、ただの場所の名前だけになってしまうのか。

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