8月のサファリダイヤリー、その5
16日、
[7:10、ムシアラ]
あんなに沢山いたロイタポピュレーションのヌー達が姿を消してしまった。
例日の雨で停滞をやめてしまったのか。北上してきている大移動に気付き、彼らもまた南下を始めたのかも知れない。
最近、セレナ方面で川渡りが目撃されているけど、それはタンザニアからの大移動ではなく、ロイタポピュレーションが小移動のために川を渡っている可能性が高い。
無邪気に遊び回る子供たち
[7:31、ムシアラ]
ムシアラのプライドたちが側溝付近のブッシュで休んでいた。子供達は元気に遊び回る。少し周辺を探すと、開けた場所で主のソローが日光浴をしながら完璧に熟睡していた。
ある1台のサファリカーが、子供達の写真を撮るためにブッシュに乗り入れた。そのために休んでいたパラオはビックリして起き上がり、その場所から逃げなくてはいけなくなった。
ボクはやるせなくなって、そのドライバーを睨み付ける。この時期になるとお客さんが増えるので、普段サファリに出ないアマチュアドライバーも出勤させられているようだ。そういうドライバーはあまりサファリのマナーを知らない。野生動物は観光客に見せるためにサバンナで住んでいると思っているのか。
ぐっすりと眠るオスライオン
その寝顔は優しい[8:20、パラダイス]
道路の脇の草の中にトムソンガゼルの赤ちゃんが隠れていた。
ボクは1枚写真を撮りたくて、ドライバーシートの窓へ身体を伸ばすと、ドライバーは親切心で写真が撮れるようにドアを開けてくれた。
それにビックリして子供は走りだし、母親の元に駆け寄った。
考えてみれば、これもアニマルハラスメントだ。僕らは他人を批判する資格がない。
アリ塚の上で休むクイーンの娘と、木陰で休む子供たち
[10:15、パラダイス]
クイーンの娘と子供達がアリ塚で休んでいた。
暑くて休んでいる様子だが、顔だけは休めずあたりに注意していた。18日、
昨夜の雨が随分長く降り続いた。この連日の雨で草原に緑が戻ってきた。
そして粘土質の道路はまた泥濘、場所によっては車の轍によって大きな溝ができる。[16:35,セレナ裏]
ハネムーン中のライオンペアに会う。オスライオンはこの辺りをナワバリにするボスだ。
動物大移動が始まって、獲物を捕らえやすくなった時期に入りライオン達は肥え始めているが、ハネムーン期間はほとんど何も食べにというのは本当らしい、このペアのお腹はぺたんこだった。それでも空腹にはお構い無しのようで、僕らのいる前でも1度交尾をすると、また休息に入った。
交尾行動以外はひたすら休んで体力を温存するようだ
[17:07、キワンジャトピ]
今日は誰もチーターを発見できずにいると思っていたら、連絡が入った。
子供を3頭連れた家族は石でできた盛り上がった丘に隠れるようにして休んでいた。車では近づけない場所だった。
ハイシーズンの人込みに疲れチーターも、ときどきは人知れずのんびりとしたい時があるのだろう。[18:04、ムチャンガニェウシ]
夕暮れどき、森から出てきた数十頭のゾウ達が僕らの前を通り過ぎようとしていた。
泥濘んだ道路の側溝を横切るとき、鼻を伸ばし地面を触る動作をするのが気になった。土を食べるつもりなのか、それとも何かの匂いを嗅いでいるのか。
みんな一反停止して同じ動作をやるので、何をしているのか考えてやっとわかった。泥濘みに身体が沈まないかどうか、泥の固さを調べていたのだ。
ゾウの鼻は本当に色々な道具として使われるものだ。人間は手と目の刺激で脳が発達していったと言われているが、ゾウは鼻と目の刺激で脳が発達するのだろう。19日、
[16:51、セレナ]
岩場で隠れて休んでいる兄弟オスライオンの1頭
兄弟オスライオンが岩場で休んでいるのを発見した。
この場所は彼らのナワバリではないはずだ。でも以前、まだこの兄弟が自分のナワバリを持っていなかったノマド時代によくいた場所だったのを思いだした。
プライドのメス達の姿を見えない。きっと兄弟オスライオン達だけが、ときどきこの場所に戻ってくるのではないか。20日、
[16:37、GSU前]
タンザニア国境にほど近い、マラ橋付近でヌーの川渡りが始まっているのを耳にした。
僕らは午後3時に出発し、その場所へひたすら向かう。マラ川には沢山の車が詰めかけていたので、その場所がすぐにわかった。
もうすでに数千頭ものヌー達が渡り終え、こちらのマラ・トライアングル内に入り草原を黒く埋め尽くしていた。
それでもまだまだヌー達は対岸からやって来ては川に飛び込んでいる。
舞う砂埃、水へ飛び込む音、地響きのような足音、そして無数のヌー達があげる仲間達を呼ぶ叫びに似た声を耳にすると、緊迫した空気と生々しい生命力の迫力に胸が押しつぶされそうになってしまう。
となりのサファリカーのドライバーと話すと、彼らは昼からずっと張り込んでいたという。
このヌーの川渡りを見るために何週間も張り込む人達の気持ちがわからないでもない。やはり観る価値がある。
ヌー達が崖を転げ落ちるように川へ飛び込む
流されながらも対岸を目指して一心に泳ぐ
渡り終えたヌー達が対岸を黒く覆い尽くした
僕らは15分間ほど見学したところで、ヌーの川渡りが自然にストップした。
同時に雨が降り出し、僕らは少しでも川渡りを観察できたことに感謝した。