9月のサファリダイアリー、その1

1日、

[9:02、キワンジャトピ]
ヌーの群れの傍らに、肉食獣らしきシルエット。
ライオンだと思って駆けつけると、この辺りの優勢オスであるチーターの「ダンディ」であった。
近づくとダンディのそばの草むらに、仕留めた獲物が見えた。良く見るとそれはオトナのヌーだった。

普通、アゴが小さくて力の弱いチーターはヌーを狙わない。ヌーを力ずくで倒せるのは、このあたりのチーターの中ではダンディだけだろう。
ダンディの物怖じしない態度も含めて、ボクはいつも彼はクールで恰好良いやつだと思っていたけど、さらに彼の強さに惚れてしまった。
いつかはダンディが獲物を求めて走っている姿を見てみたい。


[9:22、キワンジャトピ]
チーターのダンディがいるところから、そう遠くないところで兄弟若オスライオンに会った。いつもは4頭でいるのに今朝は3頭だ。
ライオンたちの顔や手が血で赤く染まって、お腹も膨らんでいるところから、きっと夜にハンティングをしたのだと思われた。

鼻をクンクンさせながら移動している。仲間を探しているのだろうか。やがて前方にシマウマの群れが見えた。
あんなにお腹一杯なのでハンティングなんかしないだろうと思って見ていたら、先頭の1頭は身を屈めて走る態勢を始めた。
気づいたシマウマの群れが逃げ出してライオンの鼻先を通りすぎていく。今飛び出したら捕まえられるのではという瞬間があったが、結局追いかけなかった。
お腹は一杯だけどチャンスがありそうだからちょっと構えてみた、といった感じだった。

ライオンの目の前をシマウマが走り去っていく


2日、

死体に群がるハゲワシの群れ

[10:35、セレナスワンプ]
飛行するハゲワシの後を追ってみると、何かの死体に辿り付いた。40羽ほどハゲワシと数羽のハゲコウが群がり、叫びあいながら壮絶な大乱食を繰り広げていた。
外側にいるハゲワシはラグビーのスクラムのような人(鳥)だかりの上に飛び乗って中に潜り込み、なんとか肉切れを手に入れようとする。やっと嘴の片隅にくわえた肉を、今度はハゲコウが長い嘴で器用にかすめ取った。あまりの素早さに唖然とするハゲワシ。
ひしめき合いすぎて何を食べているのかまったく判断できない。
一瞬だけ視界に入った獲物の蹄で、その死体がヌーであることがようやく分かった。

[15:00、GSU]
お昼過ぎより「ヌーの川渡り」狙いで僕らは川渡りのポイントで待ち続けたが、今日はヌーの渡りそうな兆候がなかった。対岸を見渡せば先日まで草原が真っ黒になるほどヌーがいたのに、みんな渡りきってしまったようだ。
夕方5時まで待って雨が降ってきたので僕らは諦めた。
セレナ付近の草原には、滑走路を覆い尽くすようにヌー達が蠢いていた。やはりある程度の大軍はもうこちら側に渡りきってしまったようだ。

4日、

野焼き後、新しい新芽の生える草原とシマウマ

[7:33、モラム上]
1ヶ月前に野焼きをした大地は、すっかり緑の新芽で覆われていた。
早朝そこを散策すると緑の眩しさに目が眩んだ。
生まれたばかりのトピの子供が数頭いた。これから一斉にトピの出産シーズンに入るようだ。

トピの赤ちゃんのお腹には臍の緒が見えた

5日、

岩場で休息するチーター親子

[16:30、ムワリム]
国境付近の緑の草原で、二家族のチーター親子にあった。二家族の距離は1kmほどだった。
どちらも石の小山でできたブッシュの中で休んでいる。
そういえば最近、チーターは休むときに石の多い林の中で休んでいることが多い気がする。
思うに、観光客から身を隠すためではないだろうか。
今はハイシーズンなのでひっきりなしにサファリカーがチーターを追いかけて観察している。チーターは神経質な動物だ。本当はチーターのそばで15分以上観察をしてはいけないという保護区規制があるのだが、いったい誰が守ってるというのだろう。
石がゴロゴロしているエリアは観光客を乗せたサファリカーが容易に近づけないので、そこでならチーターたちもノンビリできるのかもしれない。
彼らなりにマサイマラで生きるために知恵が必要なのだ。

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