9月のサファリダイアリー、その6
28日、
草原とシマウマのおしり
[15:58、Jギラレ]
シマウマの大群がオロオロロの丘のふもとに集合を始めている。大移動中のシマウマがやって来てイネの穂を食べた後、ヌーたちがイネの茎を食べにやって来るというが、今年はどうだろう。
乾燥した草原を走ると無数のイエバエが車内に入り込んできた。ツェツェバエではないので害はないけど、まるで乾季になってしまったようだ。
茂みで休息中の子供チーター
[17:05、セレナスワンプ]
乾燥した湿原のブッシュの中でチーター親子が休息している。
母親は日陰で寝転がり、時々伸びをしたり寝返りを打ったりしている。
ブッシュの中で1頭の子供は、今日捕らえたトムソンガゼルと思われる獲物の残しかけを食べていた。[17:22、モゴロ]
チーター親子からそう離れていないところの木の下で、2頭のオスライオンが寝ころんでいる。シエニの兄弟オスライオンだった。なにか獲物を食べた後らしく、でっぱったお腹を出して休息していた。
昼寝中の兄弟オスライオン
観察していて興味深いと感じることがある。
この兄弟は昨年までナワバリを持たないノマドだった。その頃は2頭ともさすが兄弟と感心するくらい顔がそっくりだったのに、最近では2頭のたてがみの色に違いが出てきた。
2頭とも美しい金色のたてがみだったのに、1頭のオスのたてがみは肩の後から首の付け根にかけて黒くなってきている。そして、この黒っぽくなったオスだけがシエニのプライドのメスたちと交尾をしているのだ。
動物の本を読むと、たてがみの色はどうもホルモンと関係しているらしい。でも交配に優位なオスだけのたてがみが黒くなるのか、交尾すると黒くなるのかはわからない。
ところで、シエニのプライドを追放させられてしまった以前のオスは見事な黒いたてがみだった。最近見かけないが、あのオスはノマドになってしまった影響で、黒かったたてがみは白くなってしまったのだろうか?
最近見かけないので気になる。
(事後報告:ノマドになったたてがみの黒いオスライオンは、7/6にマサイ族の牛を殺したことにより復讐を受け、マサイの戦士100人による激しい攻撃の末、死んだ)29日、
風が強く、相変わらず雨の降らない日が続いている。
日中何気なく気温計を覗くと29度で、湿度は15%しかなかった。どおりで唇や手がカサカサになってしまうわけだ。夜、僕らの住んでいるオロオロロの丘の上から遠くに大規模な野火が見られた。野火はマサイ族の土地であるアイトン付近なので、たぶん次の雨期に向けてマサイ族が人為的に火を付けたのだろう。
30日、
[6:40、マラリアンダ]
アカシアの林より日の出を眺める。
林を移動するキリンの群れがシルエットとなった。[7:30、ムシアラゲート]
ムシアラの大所帯に会いに来たが、今朝はまだ誰も見つけていない。
BBCのBIGCAT撮影隊が集まっていたので近づくと、そこにはちょっとした石を積み上げた場所があり、そこにライオンの赤ちゃんが隠れているという。しばらく見守ってみたが出てくる様子もなく、撮影隊のように根気よく待つ時間もないので諦めた。
[9:25、パラダイス]
千頭ほどのヌーが歩いている。大移動中の一群だろう。
大移動するヌーたちは、もうこの付近の草原をおおかた食べ尽くしてしまった感じがある。どのイネも穂が食べられていた。
そして草原は乾燥が進み煤けている。無数のハエが車内に入り込み、水分を求めてボクの顔に群がった。
ところでこのイエバエ達はヌーが大移動とともに連れてくるのだろうか?
地元マサイ族であるドライバーのパトリックおじさんに尋ねると、乾季のせいだ、と言われた。[10:40、エルモラン]
探して探して、ようやく見つけたライオンのペアは、この辺りのボスである「ソロー」ではなく、息子の「パラオ」だった。
ボクはてっきりパラオは扶養家族で繁殖活動をせず、父親の子供たちの子守をして生きていると思っていた(だからパラサイトなのでパラオと名付けてしまった)が、どうやら間違いのようだ。
このメスはもともとムシアラの大所帯のメンバーなのだろうか?、メスは頭数も多く身体的特徴も似ているので、ボクはまだ個体識別できていない。もしそうだとすると、ムシアラのプライドというのはソローとパラオの2群が同じなわばりに共存する「二世帯家族」ということになるだろう。
もっとボクには調査観察が必要だが、いかんせんこのエリアは遠いので毎回来ることができないのが現状だ。
ハネムーン中だったパラオとそのメス
ハネムーン中のパラオは、20分間の観察中に2度交尾をした。
しかし交尾は上手くいっていないようだ。普通なら交尾が成功するとメスは声を上げ、最後にはお腹を見せて寝転がる。でもメスライオンはパラオが射精を終えた後も、じっと座ったままだった。なんだか不満そうに見える。
やはりパラオはまだまだオトコとして自立していない修業の身かも知れない。