10月のサファダイアリー、その5

20日、

列を作るヌーたち、白いヒゲが光る

[6:50、Jギラレ]
野焼きしたエリアにシマウマの大群が集まった。そのあとを追うようにヌーたちが列になって集まり始めた。タンザニア国境付近にいた大移動群が戻ってきたのだ。ヌーたちの白いヒゲは太陽に反射して光っていた。

[7:11、セレナスワンプ]
僕らは野焼きをして開けてしまった場所を散策した。
風に舞って灰が目に染みるが、調べるとこの場所も結構面白い。野火の跡地には、今まで隠れていて気づかなかった頭がい骨が白く目立っていた。
また、普段丈の高い草原にいて警戒心の強いヨコスジジャッカルにも会えた。

[7:40、Jギラレ前]
野焼きされていない草原で1頭のメスライオンを見つけた。後を付けてみると、この付近をナワバリにしている兄弟オスライオンとそのメスライオン達が勢ぞろいしていた。

兄弟オスライオンの「フレーメン顔」


最初木陰で休んでいたがメスたちはおのおの立ち上がると移動を始めた。オスはメスがオシッコした場所の匂いを嗅いで何度も顔をしかめて「フレーメン」という表情を見せた。メスたちはまた発情期に入ったようだ。
兄弟オスライオンの子孫が繁栄するのはいつになるのだろう。

21日、

水を飲んだ後ヌーの群れを見つめるダンディ

[7:40、オロオロロ下ソーセージ]
いつものことだけど、チーターのダンディは身体が大きいので遠くから観るとメスライオンに見えてしまう。
今朝も悠々と歩いている。ナワバリのパトロールだろう。ときどきバラニテスの木にオシッコをかけた。そして水辺に来ると少し水を飲んだ。
まわりにはヌーの群れがいる。ヌーたちは日ごろ観ていてもあまりチーターに警戒を示さない気がする。ヌーはチーターの3倍も体重があるので獲物の対象として狙われないのを理解しているのか。
でも、ダンディに限っては力があるのでヌーを倒すことがある。それをヌーたちが知らなかったら、いつまでもダンディの獲物の対象になってしまうだろう。

[8:12、オロオロロ下フィグ]
まだ幼さの残る兄弟チーターが木の下で休んでいた。
この個体は以前、機嫌が良いと車のボンネットに乗った子供たちだ。彼らも母親より独立したのだろうか?
トムソンガゼルの群れが近づくと、身体を起こしてじっと見つめた。しかしトムソンガゼルはすでに気づいていて、逃げ出してしまった。

親別れして兄弟で生きる子チーター


ところで最後にこの家族を観たときは3頭兄弟だったのに、もう1頭の子どもは何処へ行ったのだろう。9月のマラコンサーバンシー報告でヘビに噛まれて死んだチーターの子どもの情報が載っていたが、それがそうなのだろうか。
さらに最近、この一帯をテリトリーとするダンディが頻繁に出没するようになったのは、彼らの母親が独立し新たに発情を始めたからではないだろうか。

スカドクサスは見た目の通りファイアーボールリリーの名称がある。

[8:43、ミリマンビリ]
今年もスカドクサスの花が咲いた。
草原にこの真っ赤な花はマサイ族のブランケットのようによく目立つ。

真っ赤でちょっと毒々しいソーセージツリーの花と上の方に実がぶら下がってる

[9:42、ミリマンビリ]
ソーセージツリーの木の下で朝食を食べた。
蜂がずいぶん多いので見上げると、花が開いていた。蜜がよく出るのだろう。
同時にまだキュウリのような小さな実がいくつもぶら下がっていた。

[10:53、ムワリム]
タンザニアとの国境付近の草原は、乾燥化が始まっている。このエリアはあまり雨が降っていないらしい。野焼きしてせっかく新しい草が生えてきていたのに十分な水分に恵まれず、見る間に煤けてきてしまった。
それでも大移動中のヌーたちの姿は多い。

ごまつぶのように見えるヌーの群れ

[11:36、Jギラレ前]
兄弟オスライオンのプライドが昨日とほぼ同じ場所で休んでいた。
全員集合して木の下で微睡んでいた。なかなか仲が良いのか、それともメスが発情を始めたのでオスがその場を離れなくなったのか。

木陰に集まって休息中の兄弟オスライオンのプライド

22日、

若オスライオンと仕留めたシマウマ

[17:04、マジヤプンダ]
昨夜、新人の若オスライオンが湿原へ水を飲みにきたシマウマを仕留めたらしい。僕らが夕方その場所へ向かうと、若オスライオンは満腹状態で食べ残した獲物のそばで休息していた。
そこは湿原の真ん中で日当たりがよく、横たわる若オスライオンは実に暑そうだ。でもその場所を離れる気は無いらしい。
獲物を引きずって薮の中に隠れればいいのにと思うのだが、この場所は本来「兄弟オスライオン」のナワバリだ。彼らに見つかったら逃げやすい広場にいたほうが、若オスライオンにとって都合が良いのではないだろうか。

23日、

オロオロロの斜面を下るゾウの群れ

[6:19、オロオロロ下]
薄暗い日の出前、オロオロロの丘の上より30頭ほどのゾウ達が降りてきた。
この周辺に棲んでいるゾウ達は夜間丘の上で過ごし、昼間は草原を通過しマラ川沿いの森に消えていく。それは何度も見ているので彼らの習慣だというのがわかる。でも丘の上や森の中で何をしているのかは確認できない。いつか観察する機会があれば、と思う。

だるまさんが、ころんだ
[8:40、Wクロッシング]


今日はずいぶんと風が強い。
屋外で朝食を摂ろうとすると、風でコーヒーの粉がスプーンからすべて舞ってしまうほどだった。
こんな日は空に雲が留まっていられないので、しばらく雨が降らない兆候だ。

[10:33、タイヤ&モラム]
今日は「クイーンの娘」とその子供たちを探していたけど見つからなかった。でも運良く別のチーターを2頭見つけた。トピの群れが凝視している処があったので覗いてみたらいたのだ。

始めて見かける(?)オスチーター2頭

通常ナロック自治区はあまり頻繁にサファリドライブで来ない処だけに、2頭は見たことない個体だった。2頭とも耳に黄色いタグを付けていた。WWFの個体識別タグのようだ。身体は大きかったが、ほんの少しだけ首の後に幼さを残すタテガミが確認できた。
車には慣れている様で警戒もせず、茂みの中でリラックスしていた。
お互いの顔を舐めあっている。うっすらと顔がピンク色なのは、獲物を食べた後なのだろう。


・サファリダイアリー、その6へ