10月のサファリダイアリー、その7

27日

なかなか凛々しいチーターオス

[16:27、マジヤンデゲ]
連日あんなにヌーたちで賑わっていた湿原がもぬけの殻になっていて驚いた。
いるのは数頭のイボイノシシとウォーターバックという定住者のみだ。
どうしたのかと湿原を散策すると、1頭の大きなチーターがいた。
最初「ダンディ」だと思ったが、あとで画像を確認すると別のオスだとわかった。ダンディよりも色が濃く、顔に幼さが残る。何処からやって来た個体かボクにはわからなかった。タンザニアから来た個体はだいたい臆病だけど、このオスは車をまったく気にしないで行動している(だからダンディだと思ってしまった)からマサイマラに棲んでいる個体だと理解できる。
最近、このマラ・トライアングルで生活していたいくつかのチーター母子が親別れ(子別れ)をした。そしてメスが新たに発情し、匂いで付近のオスたちを呼び集めているのかもしれない。

[17:08、マジヤプンダ]
若オスライオンたちが開けた場所で睡眠を貪っている。
その場所には2頭しかいない。普段4頭で仲良く生活しているので、きっと辺りにいるだろうとドライバーが見渡すと、小さな茂みの中でもう1頭はひっくり返って寝ていた。まるで揺りかごの中で安眠しているようで気持ち良さそうだった。

 

揺りかごのような茂みで眠るオスと、あくびしたまま倒れるように寝たオス

[17:23]
部分的に雨が降りだした。雨が降れば野焼きした場所の草原がもっと緑になるだろう。そうなると、まだしばらく動物大移動群はマサイマラに停滞するはずだ。

28日、
[6:55、コムチェゾ]
野火をした後の平原で、あまり見かけないオオミミギツネがウロウロしていた。
開けた場所で獲物の昆虫などを探しているのだろうか。
するとオスのトムソンガゼルがやって来てオオミミギツネを追い払った。小型のトムソンガゼルだが、ナワバリ意識が強くけっこう気が荒い話をよく聞く。今もこのトムソンガゼルはオオミミギツネを追い払おうと遠くまで追い掛け回していた。

2匹のオオミミギツネの後ろ姿



[7:08、コムチェゾ]
兄弟オスライオンのうちタテガミの黒っぽい個体が、メスをつれてハネムーン(ペアでしばらく繁殖活動に励む)をしている。
僕らが見ている間にも1度交尾をした。この交尾期間がうまく成功すれば、3ヶ月後に赤ちゃん誕生ニュースを伝えられるかもしれない。

[7:44、Jギラレ]
マラ・トライアングルの西部は変わらず停滞中の大移動群で一杯だ。

[8:15、Jギラレ]
3頭のチーターが歩いている。サファリカーで近づこうとすると逃げられた。
車慣れしていないのでタンザニアからきたチーターだろう。双眼鏡で確認すると3頭とも若いオスだった。以前親子でいたやつかも知れないがはっきりわからなかった。
最近オスのチーターばかり見かける。そして子別れした母親たちの姿を見かけなくなった。

どんどん歩いていってしまったオスチーター3頭

[8:42、マウエBFP]
朝食を食べる場所を探していたら、草丈の高い野原よりチーターの顔がひょっこり現れた。それは「ダンディ」だった。
顔が血で赤く染まっているので食事をしているのだ。サファリカーを近くまで回してもらうと、ダンディの足元に狩られたオトナヌーが横たわっていた。
ダンディがヌーを食べているところを見るのはこれで何回目だろう。普通のチーターではヌーは大きすぎて(体重が3倍)狙わない。
ダンディはヌーの内臓を食べたところで、すでにお腹がはち切れそうに一杯になっていた。

食事中のダンディ
鋭い目つき


チーターは自分で捕らえた新鮮な獲物しか口にしない習性を持っている。だからいくら大きな獲物を捕らえてもライオンのように何日かに分けて食べるところは見たことがない。このヌーもダンディが食べれるだけ食べた後は捨てられ、ハイエナたちのご馳走になってしまうのだろう。

[11:22、マジヤンデゲ]
昨日はチーターの出現によって誰もいなくなってしまった湿原だが、今日はいつもと変わりなくヌーたちの水飲み場に戻っていた。
そこいにた1頭のシマウマを見てびっくりしてしまった。お尻の皮が破れ、肉が裂けているのだ。

ライオンに襲われた臀部にはハエがたかる


冷静になってよく観察すると、臀部に何本かのひっかき跡が見られる。ライオンがハンティングをしようと飛びついた跡に違いなかった。
怪我をしたシマウマは仲間達と一緒に草を食んでいた。ボクの観察ではそう痛がっているようには見えず、歩くのに支障をきたしているようにも見えなかった。しかし化膿すれば病死するかもしれないし、本気で走れずに再度ライオンにハンティングされてしまうかも知れない。
このシマウマにまたボクが会える確率は、どのくらいあるのだろう。

とめどなく水を飲みにやってくる大移動群

[11:32、マジヤツイガ]
マラ川沿いの水飲み場は、異様なほど大混雑していた。
何百頭ものヌーとシマウマたちが入れ替わり立ち替わり水面に押し寄せて来る。水際で蠢くヌーたちが砂糖に群がるアリの大軍に思えるほどだ。



その行列ははるか1km先程から続いているのに驚いた。その数は数千頭ではくだらないだろう。後続のヌーたちは、まるで行列に遅れるとマラ川の水が無くなってしまう、とでも思っているように焦って走ってくる。
僕らは飽きることなくしばらく「ヌーの水飲み行動」を観察した。ヌーの川渡りも興味深いけど、こっちもけっこう緊迫して面白い。やはりヌーを見るなら集団が楽しい。


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