水場大渋滞
[11:00、マジヤプンダ]
だんだん陽が高くなり、暑くなり始めた。
マサイマラに停滞中の動物大移動群であるシマウマやヌーは、最低1日に1回は水を飲むために水場へ集まってくる。何万頭もいるのだから水場は大混雑だ。
川面を見つめるシマウマたち
マラ川はすべての動物にとって大切な場所だ。それに水際に降りていける場所は限りがあるので捕食者に狙われやすい危険な場所でもある。シマウマは警戒しながらも水を飲まずにはいられない。緊張し、はげしい精神的な葛藤をしながらも何とか集団行動で水面に恐る恐る口を近づけていた。
恐る恐る水に口を付ける
本来、シマウマは泳ぎが得意な動物なのでそんなに水を恐れない。最初に水面に口を着けるシマウマは水際ぎりぎりで水を飲むのだが、やがて慣れてくると胸の辺りまで川に入り水を飲むものも出てくる、深くて流れのある水の方が奇麗で美味しいのだ。でもマラ川にはクロコダイルがいるので、常に緊張を緩めない。誰かが何かの拍子でびくっとすると、何もなくてもみんな一斉に水際から逃げ出した。その時の水飛沫と水音は凄まじく、まだ水を飲めていない陸にいるシマウマたちも驚いて逃げてしまうほどだった。
何かに驚いて一斉に逃げ出す
観察していると、そうやって水際から慌てて逃げ出す行動は3分以内に一度は行われていた。逃げ出すきっかけは、たとえば誰かと誰かの頭が水際でぶつかった。そんな些細なことで始まる。本当にみんな緊張しているのだ。生死をかけて水を飲んでいると言える。
いったいこんな感じで何万頭のシマウマたちが全て水を飲めるのは、何時間後になるのだろう。
湿原の水を飲むヌーたち
[11:30、マジヤンデゲ]
より警戒心が強く臆病なヌーたちは、マラ川で水を飲むより湿原で水を飲むほうを選んでいるようだ。
湿原は視界が広がっていて一見安全なように思えるからだろうか。でも泥濘に足を取られると川沿い以上に捕食者に狙われやすい危険に場所にボクは思える。
湿原にだってクロコダイルはいるのだ。それに湿原の止水は汚れていて美味しくないだろう。ヌーはそんなことお構いなしでシマウマより劣悪な環境でも適応できているのだろうか。