1日、マラ川魚釣り

魚を釣る気充分のボクとマラ川

本当に時々だけど(勤務中だし)、友人がマサイマラに遊びに来てくれるとボクは魚釣りに出かける。
セスナに乗ってビクトリア湖へ出かける豪勢なアトラクションがある。でもボクは身近に流れるマラ川で糸を垂らすのも趣があっていいと思う。告白すると僕自身まだマラ川で魚を釣り上げたことはない。けれど竿を降ろして、あとは何をするともなくぼけっとする雰囲気が好きだ。(言い訳?)
僕らのロッジのあるオロオロロの丘よりまっすぐ下れば、ほんの徒歩30分でマラ川へ着ける。ここは保護区外だし魚を釣っても怒られない。土地の所有者であるマサイ族は魚を絶対に食べないので興味を示さない。
いつもは適当に拾った棒にナイロンの紐をくくりつけ、スタッフが釘を加工して作った手製の針を借りて魚釣りをしている。でもついにボクは日本製の伸縮式釣り竿とリール、それにクロダイ釣り用(18号)の釣り針を手に入れたので、今日は本気で大物を釣る気だ。
今朝も川そばにゾウが5,6頭ウロウロしていたのを見た。だから安全のためにKWS(ケニア野生生物局)レンジャーのジョンに銃装備で同行してもらう。
ジョンも釣り好きでボクが日本の釣り針をあげたので、彼自身釣る気満々だ。
川岸には僕らのロッジへ水を引き上げるポンプを配置している施設がある。そこにはかかりきりで管理するスタッフがいるので挨拶すると、すでに暇を持て余している何名かの警備員が魚を釣り上げていた。
昨日垂らしておいた糸にかかった魚を引き上げたという。この魚は鱗がびっしりついていて口ひげが有り、日本でいう「ニゴイ」に似ていた。餌はトウモロコシの粉だったそうだ。
以前釣りきちの友人がソーセージでこの魚を釣り上げたことがあり、コイに似ているので「こいこく」にして食べたことがある。味は、たいしたことなかった。なんと言っても小骨が多くて硬く、1本の小骨が嫌になるほど枝分かれしていて口の中で刺さるのだった。こんな面倒くさい思いをして食べなければいけないのなら、マサイ族が手を出さない理由もわかる気がした。

 

以前友人と釣りをしたときのノンビリした風景と、釣り上げた40cmほどの魚

今日はナマズを釣る目的でさっそく僕らは針を降ろした。ボクがキッチンから持ってきたソーセージとベーコンは、あっという間に溶けてしまった。
ジョンが餌はカエルが一番良いと言って、その場で数匹捕まえた。そしてボクの釣り針にも括り付けてくれた。まだカエルは生きているのでちょっと申し訳ない。
スタッフのみんなは手投げなので足元に釣り針を垂らすが、ボクはリール竿があるのをいいことに川の中腹まで餌を投げ込んだ。ジョンに、カバに気を付けろ、と言われた。見ると15mほどのところでカバが4,5頭心配そうに頭を覗かせている。確かに彼らに釣り針が引っ掛かったら大変なことになるのでボクは場所を変えた。
しばらくすると、「あ、はずされたぁ!」とジョンが叫んだ。逃したけど手応えがあったらしい。それから間髪入れずに別のスタッフが50cmはあるナマズを釣り上げた。見ると黒っぽい緑色で、頭はでかくて石のように硬かった。それからジョンもナマズを釣り上げた。でもそれは15cmほどの黄色い小型のナマズだ。



今回、スタッフがつり上げた大ナマズ、釣り上げた嬉しそうなジョン・レンジャー

黄色い小さいナマズは黒いナマズの子供だろうか?と、よく観察してみると顔の形も背びれの形もだいぶ異なる。黄色いナマズは流線型に近いので、流れがある水で生活しているのでないだろうか。
なんて考えているとジョンがもう1匹釣り上げた。さすがは百戦錬磨のハンターだ。竿を持たせても狩猟の感がスルドイ。
今度のナマズは黄色というか黄金のりっぱなナマズだった。40cmはある。やはり最初の小型ナマズは黒ナマズとは別種だったのだ。これで少なくとも3種類の魚がマラ川に生息していることが分かった。
そんな風に人の魚ばかり観察していたら、川の中に竿を垂らしたままにしていたボクの釣り糸が川底の何処かに引っ掛かってしまっていた。マラ川の中には沢山の流木が沈んでいるのでそれに引っ掛かったのだろう。
ジョンに手伝ってもらって何とか針を引き上げると、餌のカエルの頭だけがもぎ取られていた。これはナマズの仕業に違いない。ボクが竿を放している間にナマズが食いついて流木の下に隠れたんじゃないか、と推測。
推測できても釣れないことは変わりない。「かとうさんだけ釣れてない」と友人に指摘された。
ボクは釣りに向いてないのか?そういえば以前も釣りにすぐ飽きてしまい川辺の石の上で寝てしまった。スタッフはそんなボクを「クロコダイルがいるからあんなところで寝るな」と注意した。
しばらく頑張ってみたがボクはまた地球を釣り上げてしまい(川底に針が引っ掛かった)やる気を無くし、ジョンは大型を1匹釣り上げたので満足し、今日は引き上げることにした。
スタッフの駐在するポンプ施設では、さっそく魚が料理されていた(スタッフはマサイ族ではない)。あのニゴイに似た魚をたっぷりの油で焼き上げている。一切れだけ食べさせてもらうと、結構美味い。その魚にはその土地にあった料理法があるのだな、と改めて感心。やっぱ鯉こくは日本のコイじゃなきゃだめなのだろう。

スタッフのランチとなったニゴイに似た魚のバター焼き

別の日にあのナマズの空揚げも食べさせてもらう。泥臭さなんて無く、こってりしていてこれも旨かった。考えればマラ川の水は土壌の影響で濁っているけど、上流に公害なんてありえないので魚はどれも安全で美味いのだ。
ボクはまた別の日には自分でナマズを釣り上げてやろう、と密かにリベンジを誓っている。