12月のサファリダイアリー、その4

23日、
[6:30、オロオロロゲート]
保護区のゲートレンジャーが、「ライオンがいるぞ」と教えてくれた。
どうして知ってるのか尋ねると「見えるから」と言われ、指を差された。双眼鏡を覗くと確かに朝日を浴びて歩くオスライオンの姿が映った。よくもあんな遠くの動物がわかるものだ。そしてこの付近で普通に生活するレンジャー達が勇敢に思えた。

朝焼けとゲート付近を歩くオスライオン

[8:24,ギラレ]
保護区西側のオロオロロ斜面沿いに南下した。
今月頭に比べ、ヌーの大移動群の姿が少なくなってきた気がする。少しずつタンザニアへ戻り始めたのだろうか。
数Kmに渡って整列して続くヌーの行列も見かけた。

[9:50,ソルトリック前]
ハゲワシの一群が草原に降りている。近づくが、食べ物らしきものはない。日光浴しているだけなのだろうか。そしてその付近のクロトンの茂みの中にライオンが寝ているのをドライバーが発見した。
2頭のメスライオンと奇麗なタテガミのオスライオンが茂みの中に隠れていた。国境付近をナワバリとする13頭のプライドのメンバーだ。
オスライオンはオスのインパラを食べていた。ライオンがすばしっこいインパラを捕まえるのは珍しい。この食べられているインパラはよほど運が悪かったのか、怪我でもしていたのではないだろうか。

美味そうにインパラを食べるオス


メスが獲物を食べたそうな目でオスライオンを見つめていたが、柔らかくて美味しそうなインパラの肉を譲る気はないらしい。小さい獲物なのできっとオスが独りで食べ尽くしてしまうだろう。

死んだばかりのバッファロー

[12:23,マジヤンデゲ]
国境付近からの帰り道、またハゲワシの一群に遭遇。
そこにはオトナのバッファローが横たわっていた。まだ死んだばかりのようだ。傷ついていないので死因は病気か老衰だろう。
次々と集まってくるハゲワシたちはバッファローの腹に穴を開け、内蔵を食べ始める。
皮膚の厚いバッファローの限られた空間に頭を突っ込みたくて、ハゲワシ同士の奪い合いが起こる。観ていると、どうも食べている時間より喧嘩している時間の方が長い。ハンティングよりも楽をして栄養を摂れる屍漁りも、あんまり仲間の数が多いと効率が良いとは言えないようだ。

25日、

[6:46、ゲート]
この数日雨が降らず良く晴れている。陽射しが強くてまるでまた乾季になってしまったようだ。
気付くと保護区の草原にはヌーの姿が少なくなっていた。少しずつタンザニア方面へ移動を始めたようだ。シマウマたちはまだ停滞しており、緑の草原にシマウマの縞模様が目立つようになった。

獲物を持ち去ろうとするハイエナ
逃げるハゲワシ

[6:58]
ハゲワシの集まる場所へ向かうと、シマウマの残骸が突かれていた。
ドライバーは病気で死んだのだろう、という。
しばらく観ていると、ハイエナが1頭やって来て残骸を丸ごとくわえて持ち去っていってしまった。
遅れてやってきたジャッカルは、スタコラとご馳走を巣穴に持ち帰るハイエナを恨めしそうに見送った。

よりいっそう身重になったハナ子

[7:36、シエニ]
クロサイのハナ子が草原に出てきて食事をしている。
妊娠して膨らむお腹が陽に当たってさらに大きくなったように見える。ボクがマサイマラを離れる3月までに子供は生まれるだろうか。
ハナ子にとって初産なので無事出産できるか心配だけど、その子が無事成長できるかどうかはさらに心配だ。
希少なクロサイの子供の安全のために保護区管理局は最善の努力をしなければいけないし、さらに観光客の観察マナーも一層大切になってくるだろう。

26日、

[15:46、シエニ]
小川付近の草原にいつものようにヒヒの群れがいる。彼らは草の新芽を摘んで食べている。
来年はさる年らしく、ヒヒの写真を収める人が多い。

[16:13、マジヤンデゲ]
5頭の赤ちゃんキリンが草原で立っていた。僕らの車が近づいても、そう脅えずにこちらをじっと見つめ返してきた。みんな幼く、お腹の下を見ると乾いた臍の尾が付いている。まだ生後1週間ほどではないだろうか。

ほぼ同じ時期に群れのメスは出産をするらしい。そして子供を集めて育児所を作るのだ。よく観ると、離れた茂みの中からオトナキリン達が顔を出して葉を食べている。ときどきこちらをちらちらと覗いて警戒しているようだった。
茂みの中で育児所を作るより、開けた草原で子供を管理するほうが安全で楽なのかもしれない。

[16:35,クフコヤプンビ]
マラ川の水位は以前として低い。広がった砂場にクロコダイルが群れていた。
おのおの口を開けて体温調節をしている姿は、かなり暇そうだった。
すると対岸よりシマウマが数頭水を飲みにやって来た。
そして横たわるクロコダイルの群れを見て、諦めて戻っていってしまった。
これだけ水位が低いと川渡りをする動物が溺れてしまうことはない。クロコダイルにとって獲物を捕らえるのが大変な時期だ。

[17:10、ミリマンビリ前]
遠くからでも十数台のサファリカーが草原に集まっているのが観えた。近づくと、そこには最近母親より「親別れ」した3頭のチーター兄弟がいた。
チーター兄弟は草丈のある場所でリードバックを仕留めて食べていた。母親無しで、ちゃんと自分たちだけで自立したようで安心した。

樹の下で獲物を食べるチーター兄弟
サファリカーに取り囲まれる


でもひっきりなしにやって来るサファリカーが、いつか彼らのハンティングの邪魔をしないか心配になる。特に今のように連休に入ると、マナーを知らないセルフドライブの観光客が多くなる。僕らの車は10分そこらでそうそうに引き上げたが、それからも何台もの車がチーターの回りをぐるっと取り囲んで動こうとしなかった。

27日、
[6:40、ベン]
今朝もオロオロロ斜面からゾウの群れが草原へ降りてきた。
その群れを守るように、1頭のオスゾウが道路を塞ぐように立ちはだかっている。


おかげでサファリカーは保護区のゲートへ辿り着けず、渋滞してしまう。
オスゾウがお尻を向けて草を食べる隙に通り抜けようとしたが、顔をちらっとこちらに向けて威嚇した。「ちゃんと観てるぞ」と意思表示をしたように思えた。
大方のゾウたちが道路を横断した後、ようやくオスゾウは道路を譲ってくた。僕らはサファリドライブを続行する。

[7:43、モラム]
この付近に生活する「木登り好きメスライオン」が独りで日光浴をしている。
まるでオスライオンのように長い遠吠えをした。オスを呼んでいるのだろうか。

遠吠えするメスライオン

[7:52、シエニ]
ときどき姿を見せるオスチーターを見つけた(国境付近のダンディではない)
彼はさっきのメスライオンの遠吠えを聞いたに違いない。急ぎ足でメスライオンの反対方向へ移動していた。そして森の中へ消えていく。

ライオンの鳴き声を聞いて慌てて逃げるチーター

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