果てしなく広がる草原でシマウマが草を食む。キリンが首を伸ばしアカシアの木の葉を口にしている。長い鼻を揺らしながらゾウのシルエットがゆっくりと進む。水の中ではカバがあくびをしている。チーターが風のように走る。薮の中ではライオンが睡眠をむさぼっている…。そんなわたしたちが思い浮かべるアフリカのイメージがまさしくここにあります。
マサイマラ国立保護区は世界で有数の、そして数少ない本物の野生の王国です。
またここは、人類発祥の地でもあるのです。わたしたちが日々の日常に追われる文明の中で失ってしまった大切な「何か」を思い出させてくれるかも知れません。
・名前の由来
マラとは、マサイ語で「Spotting」つまり「点在する・斑点模様」という意味です。保護区を上から見ると、淡い緑の草原の中に濃い緑の森や木がポツリポツリと分布している景観が名前の由来になっています。
もっとも、むかしは今以上の森が点在していましたが、人間活動やゾウにより少なくなってしまったそうです。
・マサイマラの歴史
この世界に人類が発祥する前からマサイマラは野生動物の楽園でした。ここにマサイ族が牛の牧畜をしながらやって来たのは今から400年前と言われています。それからこの一帯は「マサイランド」と呼ばれるようになりました。
1948、イギリスの植民地時代にマサイマラの一部が自然保護区になったのが始まりで、ケニア独立後の1984年からは、1510平方kmが国立保護区として指定されました。公園管理、運営は地方自治体が担っています。
現在、ケニア政府の外貨収入源を得る貴重な「観光産業」のメインとして、そして世界中の旅行者から野生の宝庫として注目を集めている場所です。
・保護区の動物たち
マサイマラを「野生の王国」と呼ぶのは過言ではないでしょう。
大型肉食獣のライオンの遭遇率は他の公園に比べて高く、絶滅の危機に瀕し個体数が少ないチーターも生息しています。ゾウ、キリン、カバなどの大型草食動物のほかに、サバンナを走るのに適応した「走行性」と呼ばれるシマウマや、羚羊類のガゼル、インパラなどがもいます。全てを合わせると陸上哺乳類だけで60種を越え、また鳥類に関しては、450種もの種類が記録されています。
・サバンナの植物誌
一般にサバンナと呼んでも様々な植生があります。一番の優先種はイネ科の草本ですが、草原には他に低木林、アカシアの森、川を取り囲むように常緑樹林帯も分布しています。それぞれの植生に合わせ動物達は見事にすみ分けをしています。これが多様な生き物を生息させる秘密なのです。
・マサイマラの気候
サバンナ気候の特徴は、年間降水量500〜1000ミリで雨季と乾季に季節が別れているところです。雨季と言ってもスコールなので、一時的な雨のあとは奇麗な青空が広がります。乾季は空気の乾燥が激しくなり、日中は日差しが強く、朝晩は冷え込みます。
マサイマラは標高が1700m以上あり、赤道付近と言えど10℃を切ることもあるので朝晩はセーターが必要です。